輔仁大学翻訳学修士課程 曽輿婷(そう・よてい)さん[第1回]――日本語通訳・翻訳のプロを目指して(2024年6月1日 台湾通信webradio)

2024-06-01·20 minutes

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2024年6月1日 台湾通信webradio
【輔仁大学翻訳学修士課程 曽輿婷(そう・よてい)さん[第1回]】
――日本語通訳・翻訳のプロを目指して
 
このインタビューは、4回に分けてお届けします。今回はその第1回です。
 
曽輿婷(そう・よてい)さんは、今、日本語のプロの通訳・翻訳者を目指しています。輔仁大学の翻訳学修士課程は、そうしたプロを養成する大学院です。曽輿婷さんは、大学の日本語学科を卒業後、日本語を使ってメディアの仕事に携わりましたが、その後、プロの通訳・翻訳者を目指して大学院へと進みました。
 
今回は、曽さんがなぜ日本語を勉強することを決めたのかについてお聞きするのですが、実は曽さんは、ヒマワリ学生運動の世代に当たります。
 
ヒマワリ学生運動というのは、2014年に発生した学生を中心とした政治運動で、学生たちが議会である立法院の議場を占拠する事態にまで発展しました。学生たちが主張したのは、当時の国民党の馬英九政権が中国大陸と結んだサービス貿易協定に対する反対するというものでした。2008年から2016年の馬英九政権下で、台湾と中国大陸は急速に接近しますが、その一つがサービス貿易に関する自由貿易協定に相当するサービス貿易協定というものでした。この双方の接近に危機感を抱いた学生たちが、馬英九政権の対中国大陸政策に反対して起こしたのがこの運動でした。
 
この運動は、政界レベルでは当時の最大野党だった民進党が受け皿となりました。民進党はこの運動を引き継ぎ、国民党の対中国大陸政策、そして中国大陸そのものを批判することで、2018年の総統選挙で政権を獲得し、現在に至ります。その間、民進党・蔡英文政権は中国大陸との関係を悪化させ、日本で「台湾有事」として危惧されるまで、対立をエスカレートさせます。その功罪は、台湾で大きな論議の焦点になっています。
 
日本のマスコミや学界では、ヒマワリ学生運動の当時、学生たちを応援する雰囲気が高まりました。台湾の学生たちは、日本の学生たちと違って、政治に高い関心を持っている、と褒めたたえることが多かったようです。台湾中の学生たちが、みんなこの運動に参加し、賛同しているかのように伝えられました。しかし、果たしてそうだったのでしょうか。
 
最近、民進党の頼清徳・総統の就任に当たって、国会改革をめぐる立法院での乱闘、学生らによる立法院への包囲デモが発生しました。これは、10年を経たヒマワリ学生運動の再来かと思わせるものがありました。しかし、10年を経て何が変わり、何が変わらなかったのか。
 
振り返って、10年前の、当事者であるヒマワリ学生運動世代の曽さんが、何を考え、どう行動したのか、まずこれから聞いてみたいと思います。当時の一般学生の雰囲気の一部が分かると思います。曽さんと日本語の出会いは、その後でお聞きすることにします。
 
(インタビュー:本田善彦、早田健文)

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