概要
黒いガウンと角帽を身につけ、にこやかに卒業証書を受け取る男、トーマスマシュークルックス。当時18歳です。このおよそ二年後、世界に大きな衝撃を与えたトランプ前大統領銃撃事件の容疑者として、FBI連邦捜査局に特定されます。クルックス容疑者は現場で警護隊により射殺されました。
見えてきた容疑者の人物像。動機の解明は。クルックス容疑者はこちらのリハビリセンターに勤めていたということです。普段は何の問題もなく仕事をこなしていたということで、施設の方々は今回の件を聞いて非常にショックを受けているということです。クルックス容疑者が住んでいたのは、演説会場からおよそ60キロ離れた街、ベセルパーク。比較的裕福な家庭が暮らす地域です。容疑者は地元の高校を卒業し、地元のリハビリセンターで食事の補助員として仕事をしていました。
容疑者のクラスメイトは「付き合いはなかったけど、いつも一人でいつもいじめられていたよ。のけものだったんだ。服装のせいでからかわれていたと思う。たまに狩猟用の服を着ていたりした。あと、新型コロナの後もずっとマスクをしていたね。」その一方で地元メディアによると、成績優秀者として500ドルの賞金を獲得したこともあるといいます。また、二ヶ月前には地元の二年制大学を卒業し、工学の準学士号を取得したばかりだったともいいます。
そして裁判記録に残るような犯罪歴もありませんでした。政治的な背景も見えていません。アメリカメディアによると、容疑者の母親は民主党を支持し、父親は小政党のリバタリアン党を支持していました。そして容疑者自身は17歳の時に民主党系の団体に少額寄付をしているものの、18歳になってからは共和党員として有権者登録をしていました。
FBIによると、クルックス容疑者が使用したのは、父親が合法的に購入した半自動小銃。ただ家からは「先ほど規制線が解かれて、クルックス容疑者の自宅の前まで来ることができました。中からは爆発物が発見されたということです。」FBIは、容疑者が乗ってきた車にも爆発物の材料が残されていたと発表しています。トランプ氏は事件翌日の14日、共和党大会に出席するためウィスコンシン州に入りました。事件では右耳を負傷しながらも拳を突き上げ、健在ぶりをアピール。その瞬間を捉えた写真は、ドラクロワの名画「民衆を導く自由の女神」を思い起こさせると話題になっています。
シャッターを切ったAP通信のカメラマンが当時の状況を語りました。左肩越しにパンという音が何回か聞こえ、すぐに銃声だと分かりました。始まりから終わりまで、一瞬の出来事だと感じました。銃声が聞こえた時、アメリカの歴史に残る瞬間だと思いました。それを記録するのが、ジャーナリストの仕事です。
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